第7章 寝酒
「じゃー、お邪魔虫は退散するからー。
あ、そのお酒は好きに飲んで良いよー」
そう言ってキッチンをあとにする。
「はぁ…。
サッチのやつ、酒好きな癖に酒には弱いんだ。
いつも酔うとあんなんだから許してやってくれよぃ」
「許すも何も怒ってないよ」
と、お酒を一口。
「ここだと人が来て落ち着かねェし、俺の部屋で飲まねェか?」
「うん、良いよ」
お酒とグラス、ついでにサッチさんが作ってくれたおつまみを持ち、マルコの部屋へと戻った。
「熾天使、今日は風呂入るのか?」
「うん、入りたい」
「なんならいっそ親父に頼んで熾天使用の風呂場を作って貰うか…」
「え?
いや、そんなの悪いし良いよ!」
「相談してみるだけすれば良いだろうよぃ。
親父から許可が出たら作れば。
降りなきゃそのままで」
「まぁ、そうだけど…」
「それより、その酒はなんの酒だよぃ?」
「これ?
これは確か…あんず酒。
美味しいよ」
「ふーん」
「一口飲む?」
「良いのか?」
「うん、どうぞ」
ゴク、とマルコの喉が動く。
「ジュースみてェだな…」
「そんなに癖が強くないからね」
「ほら」
「え?」
自分が持っていたグラスを差し出した。
「これも試しに飲んでみろよぃ。
案外イケるかもしれねェし」
「…じゃあ、少しだけ」
そう言ってグラスを受け取る。
訝しげに琥珀色の液体を見つめ、小さく一口飲んだ。