第6章 悪魔の実
「でもナツキっ」
「男が、そう簡単に怒るんじゃないの。
その怒りは、拳は、大事な人を守る時に使いなさい。
今はまだその時じゃないでしょう?」
「なんか熾天使…あいつみたいだよぃ」
「あいつ?」
「おいおい!
俺らを無視するなって!
女!
こっちへ来いよ」
「お願い…助けて…?」
担がれた女性が涙を浮かべながら懇願する。
「……エース、帽子ありがとう。
返すね」
帽子をエースの頭にかぶせる。
帽子を外した拍子に、中にしまっていた髪が伸びる。
「ごめん、マルコ、エース。
すぐ終わらせるから、少しだけ私に時間をくれない?」
「おう、もちろんだ。
ぶっ飛ばせ!」
「分かったからさっさと終わらせろよぃ」
「ありがとう」
2人に時間を貰い、男達と向き合う。
「ひゅー、自ら捕まりに来てくれるとか物好きだねー」
「減らず口が…黙れ」
背後に回り、回し蹴りを決める。
「ぐはっ…」
「うぐ…」
ドサリ、と倒れた2人を上から見下ろす。
その時に放られた女性を落ちないように支えた。
「大丈夫…?」
「あ、はい…!
大丈夫です!」
女性を抱えると、マルコ達の元へと戻る。
「随分と早かったな。
相当怒ってたのかよぃ?」
「すげーな!」
「別に、そういう訳じゃないわよ」
女性を下ろし、縄を解こうとするが。
見かけによらず頑丈に結ばれている為、指先が痛い。
「手こずり過ぎだよぃ、熾天使。
貸してみな」
「あ、うん」