第6章 悪魔の実
「あー、そうだったねぃ。
俺も運ぶにしても1人までしか無理だしな」
「あの、それなら…」
大丈夫、そう言おうとしたのだが掻き消された。
「ぎゃはははは」
「助けて…」
耳障りな笑い声と、悲鳴によって…。
何事かと、3人同じ場所に固まった。
警戒を怠ることはない。
「こいつ、いくらになりますかね?」
「さぁな。
上玉だ、一晩は余裕で遊べるだろ!」
私が歩いて来た方向とは反対側から、声が聞こえた。
それは徐々に近づいて来る。
「おら、暴れんな!」
「チッ…外道が…人攫いか」
「胸糞悪いよぃ」
ボソッと呟く2人。
見えて来たのは、武器を片手に歩く2人の男と。
その男に手脚を縄で拘束され、担がれている女性。
「あ?
なんだお前ら」
「邪魔だ、退けよ」
「おいおい、邪魔なのはそっちだよぃ。
先に来てたのは…」
口を開き、1歩前へ出ようとしたマルコを手で制す。
「熾天使…?」
エースもマルコも、苛立ちを隠そうとはしていない。
今にも襲いかかりそうだ。
「ちょっと聞きたいんだけど、その女性をどうするつもりなの?」
「ちょ、ナツキ…!」
「あ?
なんだ、見て分からなーのか?
売り飛ばすんだよ」
「へぇ、そうなの」
「おい、お前も良い顔してんじゃねーか。
こいつも売りましょうよ!」
「あー、それも良いな」
「クソったれが…ナツキに手出したら…」
「だから黙っててって言っているでしょう?
落ち着いて?
マルコ、エース」