第1章 渦中の熾天使
女だろうと、タカを括っていた。
例え5億と懸賞金が高かろうと、何年世界政府から逃げようと。
所詮女の力だと少し侮っていた。
適当に攻撃を避けて奇絶させて終わらせようと考えていた。
「よりにもよってなんで白ひげ海賊団に見つかるのよ…!」
と、苦い顔をする。
正面から来る熾天使を見て、身構える。
呟いている言葉は全て筒抜けだ。
「はぁっ」
「!
っ、ぐっ…!」
油断していた。
たかが女だろうと。
この俺が女に一撃すらも喰らわされる筈がない、と。
しかし彼女は、熾天使は俺の予測を裏切った。
正面から走って来ていた熾天使は俺の間合いに入る少し手前で、目の前から姿を消した。
一瞬にして背後に回ると、脇腹に鋭い一撃が入った。
完全に不意をついた攻撃に反応が遅れ、モロに衝撃が伝わる。
一瞬目の前が真っ白になった。
「お前…覇気使いかよぃ…」
実態のない筈の俺に攻撃を喰らわせられる。
そして普通の蹴りならなんともないのに、今は骨がミシミシいっている。
油断したら危ないよぃ。
だったら宣言通り手加減なしでやるしかねェよぃ。
再び攻撃を仕掛けようと、間合いに入った熾天使の首元を掴む。