第5章 添い寝
「そろそろ部屋に戻るかよぃ」
「うん、そうだね」
「じゃあ熾天使。
ここから俺の部屋まで戻ってみろよぃ」
「え?」
「道、覚えたんだろ?」
「う、うん…。
頑張る…」
キョロキョロしながら船内を歩く。
「ここ…だと思う。
合ってる…?」
「合ってるから、もう少し自信持ちなよぃ」
「良かった…!」
部屋の中に入り、またソファーで寛ぐ。
マルコは机に座り、本を読んでいるようだ。
読書の邪魔をしないように静かに過ごす。
その内にいつしか、意識を手放していた。
「熾天使、お前いつ頃寝るよぃ?
もう夜も遅いけど…」
「…」
「熾天使?」
返答がないことに疑問を抱き、ソファーの方を振り返る。
「まったく…無防備なやつだねぃ」
そこには、ソファーにもたれかかり眠るナツキの姿が。
スースーと規則正しい寝息が聞こえる。
起こすのも忍びないし、このまま寝かせておくかよぃ。
眠ってしまったナツキの膝裏にソッと手を回し、優しく持ち上げた。
そしてそのままベッドへと下ろすと、布団を掛ける。
「おやすみ」
幼さの残る寝顔を撫でると、マルコは再び本に向き直った。
ペラリ、とページをめくる静かな音が室内に響く。
「…電気も眩しいか…」
そう言うと、電気を暗くした。
自分は机にある手元灯で本を読み進める。
少し読みづらいが、それでも熾天使を起こさない為なら仕方ない。