第4章 名前
「あぁ見えてマルコ、心配性なところあるからよ。
見えないだろうけど」
「見えない…」
「そんなもんだよ。
じゃ、続きはまた明日な?
おやすみ」
「うん、分かった。
また明日ね!
おやすみなさい」
エースと別れ、マルコの部屋へと戻る。
その途中、あることに気がつく。
「私、マルコの部屋覚えてないじゃない…」
浴室へ行く時だってマルコに案内して貰ったし、そこからキッチンへ移動するのにもエースに…。
あれ、でも1回マルコの部屋から甲板へ行ったよね?
それで戻って来れた筈…。
どこ…だっけ?
ズラリと並んだ扉を前に、立ち尽くす。
一部屋一部屋確かめていっても良いけど迷惑になりそうだしなぁ…。
「ナツキ…?」
後ろからよく知った声が聞こえた。
この声は…。
「マルコ!」
振り返り、目を輝かせる。
「急にどうしたんだよぃ」
「良かった…マルコの部屋の場所が分からなくなっちゃって…」
「はぁ…そうかよぃ。
戻りが遅いからどうしたのかと思って探してたけど、そういうことだったのか」
「ごめんなさい…」
「話は部屋に戻ってからにしろよぃ」
「うん」
ぎゅ、とマルコの服の裾を掴む。
「どうした?」
「はぐれないように」
「そうか。
部屋、ちゃんと覚えておけよぃ」
「そうします…」
何事もなかったかのように笑ってくれたマルコ。
良かった。