第4章 名前
「ほら、ここだよぃ。
覚えたか?」
「うん、多分だけど」
「次から道に迷ったら俺を呼ぶよぃ」
「どうやってよ」
「お前が俺を呼んだら、どこに居ようが飛んで駆けつける」
「ありがとう、マルコ」
「風呂は今他の奴らが入ってるからまたあとでだねぃ」
「分かった」
部屋に入り、ソファーに腰掛けた。
「なんか飲むかよぃ?」
「ううん、大丈夫」
「そうか。
でも俺がまだ飲み足りねェ、付き合えよぃ」
「結局そうなるんじゃない。
まぁ、良いけど」
ほら、とお酒の入ったグラスを手渡してくれる。
香りから察するに果物のお酒だろう。
フルーティーな香りがする。
「マルコ…」
「ん?」
「さっきはごめんなさい。
投げ飛ばしたりして…」
「あぁ、そのことかよぃ。
あれは別にナツキが謝ることじゃねェ。
からかい過ぎた俺も悪い。
悪かったな」
「ううん!
手出しちゃうの、頑張って控えるから」
「いや、それは別に気にしなくて良いよぃ」
「でも…」
「熾天使が手出してるの俺だけなんだろぃ?
だったら他の奴らも迷惑してねェし、何より俺は別に嫌じゃない。
素の熾天使が見られるからねぃ」
「…ありがとう」
クイッとお酒を煽る。
みかんの味がして、お酒独特のアルコールの味が抑えられていた。
飲みやすい。
そう思ってもう1口飲んだ。