第4章 名前
「ほら、出来たぞガキ共」
「サッチさんきゅ!
いただきまーす」
「ありがとうございます」
エースはお皿に入ったお肉をフォークで、私はココアをそれぞれ楽しんだ。
ほどよい甘さについ口元が緩む。
「美味しい…」
「そうかそうか。
それは良かった!」
ニカッと嬉しそうに歯を見せるサッチさん。
やっぱりここに居る人達は皆良い人だ。
「ほら、ナツキ」
「え?」
「お前も食えよ、美味いぞ」
「え?でも…」
「遠慮すんなって、ほら」
「ありがとう」
フォークに一切れお肉を刺し、差し出してくれるエース。
なんだか断り切れずそれを口に含んだ。
「美味しい…!」
「だろ?
ナツキ船来てから何も口にしてなかっただろ?
だから何か食わせたくてよ」
と、照れたように笑う。
気づかれていないつもりだったけど、見ている人は居たようだ。
「ありがとう、エース」
「おう、気にすんなって!」
「エース」
「ん?」
「もう一口だけ頂戴?」
「おう、良いぞ」
「ありがとう」
「あのエースが人に飯あげてるよ…進歩だ」
そう、サッチさんが目元を覆う。
美味しいお肉と、何より優しいエースに心が温かくなる。
「エース、ココアもちょっと飲む?」
「良いのか?」
「うん、良かったら」
「さんきゅ!」
「最初マルコが連れて来た時はどうなることかと思ったけど…。
良かったな、ナツキちゃん」
「はい!」
頭を撫でてくれるサッチさんに微笑む。