第18章 所属
「マッサージするけど大丈夫か?」
「大丈夫だよ」
「本当はなにも着てない方がやりやすいんだけど、恥ずかしいだろう?
そのままで良いからベッドにうつ伏せになってごらん」
緊張しながらベッドに乗り、うつ伏せになる。
「痛くもないし怖くもないから、力を抜いて」
髪を撫でられ、無意識に強ばっていた身体から力が抜ける。
「ちょっと身体触るよ。
寝てても良いからな」
肌に触れる温かい手。
マルコより柔らかくて、繊細で。
眠気を誘う。
「おやすみ」
イゾウさんがクスリと笑った気がした。
「ん...」
目を覚ますと、見慣れない部屋に居た。
「おはよう。
紅茶淹れるけど飲むか?」
「いただきます」
そうだ、ここイゾウさんの部屋だ。
マッサージして貰ってる途中で寝ちゃったんだった。
「腰どう?」
熱いから気をつけて、と紅茶を渡してくれる。
「大分楽です。
ありがとうございます」
「だから敬語じゃなくて良いって。
ナツキは良い子なんだな」
「なんか癖ついちゃって...。
イゾウさんて、優しいお兄さんって感じがする」
「兄貴か...ナツキの兄貴ならなっても良いな。
歳もそのくらいだし」
「ほんと?」
「あぁ」
「じゃあ...イゾウお兄さんだね」
「長くて言いづらくないか?」
「......イゾウ兄...とか...フランク過ぎる?」
「いや、それが良い」
ヨシヨシと頭を撫でられる。
本当にこの船には良い人しか居ないなぁ、とつくづく思う。