第16章 繰り返される悪夢
マルコの腕を持ち、空を飛び船に戻った。
大の男を抱えながら飛んでいる姿に皆目を見開いた。
「どうしたんだよぃ、急に」
船に着き、解放されたマルコが口を開く。
「ちょっとね。
親父さん、居る?」
「親父なら部屋だけど…どうしたんだ?」
そんな怖い顔して、とサッチさんが尋ねる。
「グララララ、やけに気が立ってるじゃねェか、ナツキ。
どうした?」
「「「親父!」」」
部屋から姿を現した親父さん。
「親父さん、お願いがあるの」
「無意識に覇気使うぐれェ気が立ってんだろ?
なんだ、言ってみろ」
「海軍基地を壊して来たいの」
「バカ、何を考えてんだよぃ」
「そうだぞ、ナツキちゃん。
俺達ムダな争いは...」
「ムダ...?」
サッチさんの一言に雰囲気がガラリと変わる。
「あ、いや.........マルコ、パス」
「おい、都合悪くなったからって押しつけるなよぃ」
マルコを前に押し出し、その背に隠れたサッチ。
「ムダって一体どういうこと?」
「一旦落ち着け、な?」
「落ち着いてる」
「落ち着いてる奴はそんなこと言わねェよぃ」
「マルコ煩い」
「ナツキ、今のは違ェんじゃねェか?」
マルコの声音が変わった。
低くて硬い、怒っている時の声。