第16章 繰り返される悪夢
皆で朝食を済ませた。
いつも通り賑やかな朝。
唯一違うのは隣にマルコが居ないこと。
それだけ。
「マルコ、ナツキちゃん」
サッチさんに呼び止められて振り返る。
「悪いんだけど買い出し頼まれてくれっか?
酒切らしちまってよ。
なんでも良い、好きなのをありったけ」
「分かったよぃ」
「はい」
仲直りして来い、と強くマルコの背中を押した。
強制的に船から下ろされ、気まずい空気のまま街中に向かう。
帽子持って来るの忘れちゃったな。
髪、目立っちゃう。
「......大丈夫かよぃ」
「何が?」
「その...身体」
「平気よ、そんなにヤワな作りしてないもの」
平気じゃないのは心の方。
「...すまなかった、ついカッとなっちまって」
「それでも話ぐらい聞いてくれても良いんじゃない?
一方的にあなたの考えを押しつけないで」
「返す言葉もねェよぃ。
遅くなっちまったけど、話聞かせてくれねェか?」
「.........相談...してたのよ、マルコのこと。
だから、エースに......その...恋人とそういうことしたくなるのか聞いただけ」
「は?
それだけ...か?」
「そ、そうよ。悪い?」
「いや...」
隣を歩くマルコは手で口元を隠し、顔を逸らしてしまった。
「あ、マルコ顔赤い」
「見んな。
そんな可愛いこと言われちゃ仕方ねェだろうよぃ」
襲うぞ、と笑う。
「もう襲ってる癖に」
「すまねェ」