第3章 安心
「誰か居ますか…?」
甲板をそーっと覗く。
「お?
なんだ、ナツキじゃねーか。
どうしたんだ?」
「あ、エース!
さっきはごめんね」
「さっき?
なんかあったか?」
「えと、暴走しちゃって…いっぱい人気絶させちゃったし」
「あぁ、なんだそんなことか。
気にすんなって!」
「ありがとう」
そんなこと、か。
「それより、俺の方こそ悪かったな」
「え?」
「タコ苦手だったんだろ?」
「ちょっと、びっくりしちゃって…」
「だから、悪かった」
「ううん!大丈夫!」
「なら良かった」
「じゃあ私戻るね…って、どこの部屋に泊まれば良いの…?」
「あー、決めてなかったな。
とりあえず…」
「お前は、俺の部屋だよぃ。熾天使」
「「マルコ」」
「男女が同じ部屋で思うことはあるだろうが、部屋がねェ。
だから熾天使は俺の部屋だよぃ」
「ふーん、そっか」
「反応薄いねぃ」
「マルコとなら良いかなって」
「なんか、複雑だよぃ」
「マルコ、大丈夫なのか?」
「大丈夫だ。
お前はあれか?俺が手を出すとでも思ってるのかぃ?」
「いや、それはねーだろうけどさ」
「だったらなんだって言うんだ?」
「その……だから、あれだよ……男には男の事情があるから……だな…」
「あぁ、なるほどねぃ。
朝勃ちなら問題ないよぃ」
「ばっ!!おまっ……!!」
「今更恥ずかしがる歳でもねェだろ。
熾天使もそれぐらい知って……」
「何が??」
「なんでもないよぃ……全部、忘れてくれ……」
「そうだ、ナツキ!
マルコが今言ったとは全部忘れるんだ!全部だ!」
「全部?男のなんとかが…ってとこ?」
「そうだ!忘れろ!」
「あ、うん」
エースのあまりの剣幕に思わず頷いてしまう。