第16章 繰り返される悪夢
それからしばらくして、朝食の出来る匂いに釣られたのか皆がゾロゾロと食堂に集まり始めた。
それぞれ椅子に座って行く。
そして空席が2つ。
「まーたエースは寝坊か...。
でもマルコまで寝坊とは珍しいな」
マルコの名前が出た時、分かりやすくナツキの肩が震えた。
「ナツキちゃん?」
「あ、いえ!
2人共起こして来ましょうか?」
ナツキの見せた小さな反応。
それを見逃すサッチではなかった。
「いや、俺が起こして来るからナツキちゃんはよそっててくれるか?
男には男の事情があるんだよ」
パチッと片目を瞑った。
「分かりました」
サッチさんに言われた通り、人数分をお皿に乗せていく。
今日の朝食はハムとレタスのサンドイッチ、野菜スープ、サラダ。
ヘルシーで朝にぴったりのメニューだ。
「起きろー」
ドンドンと扉を叩く。
まず起こしに来たのはエース。
寝起きは悪いけど、ちょっとマルコと話したいこともあるし...な。
「開けるぞ」
返事がないのはいつものことで、溜め息を吐きながら扉を開けた。
「起きろ、エース。
飯だぞ」
布団を剥ぎ取り、乱暴に起こす。
「んぁ......飯...」
薄らと開いた目。
反応したのは飯という単語だけ。
「おぉ。
早く食わねぇと、なくなっちまうぞ」
そんなことは有り得ねぇけど、これが1番エースには効果がある。
「嫌だっ」
ガバッと起き上がった。