第16章 繰り返される悪夢
朝日が昇る瞬間を、初めて目にした。
眩しくて思わず目を細める。
「お、なんだナツキちゃん。
早起きじゃねぇか」
「サッチさん...。
おはようございます」
「おぉ、おはよ。
寝れなかったのか?」
「まぁ...。
サッチさんこそ、意外と早起きなんですね」
「俺はコックだからな。
コックが寝坊しちまったら皆朝飯抜きになるだろ?」
言うようになったな、と笑う。
「サッチさん、私も朝ご飯作るの手伝います」
「いや、良いよ。
寝不足なんだし、もう少しゆっくりしてな?」
ポンポンとぎこちなくサッチさんの手が髪を撫でる。
「...分かりました」
キッチンに向かうサッチさんを見送り、再び柵に身体を預けた。
朝日が海に反射して、海面がキラキラしている。
「...ナツキちゃん、やっぱり手伝ってくれるか?」
「っもちろんです」
野菜を手にしたまま尋ねるサッチさん。
そんなサッチさんの傍まで行く。
「なんか1人にしちゃいけねぇ気がしたんだよな...」
サッチさんのポツリとした小さな呟きは、私の耳に届くことはなかった。