第16章 繰り返される悪夢
縛られていた手に視線を落とせば、赤く腫れているのが分かる。
「マルコのバカ......」
解かれたばかりで赤くなっている手に触れれば、痛みが走る。
その手を包むように胸に抱き、再びベッドに身体を沈めた。
身体と心が悲鳴を上げている。
「消えたい...」
「はッ......」
いつの間に眠っていたのだろうか。
マルコとの行為を思い出し、飛び起きた。
「夢......」
冷や汗で身体がベタベタする。
外を見ればまだ陽が昇る前。
汗と共に嫌な気分も流そうと、浴室に入った。
シャワーを頭からかぶる。
トロリ...とナカからマルコのソレが溢れて来る。
雑にナカのソレを掻き出すと浴室を出た。
下着を身につけて、上からYシャツとジーンズを着た。
部屋を出て、甲板に向かった。
夜が明ける前ということもあり、静かで1人も居なかった。
柵に背を預け、その場に腰を下ろした。
潮の香りが夜風に乗って訪れる。
風が髪を揺らし、シャンパン色の髪が月明かりに照らされ、鮮やかに輝く。