第15章 釣りと魚と好き嫌い
「それと...もう1個...良い...?」
「なんだ?」
さっきよりも言いにくいことに、顔に熱が集中するのが分かる。
「男の人って......恋人に手...出したく...なる...?」
「...............は?」
ワンピースの裾を握り、俯く。
「悪いナツキ、もっかい言ってくれ」
今まで全く止まらなかった、エースがお酒を呑む手が完全に止まった。
「だ、だから.........エッチ...したくなる...?」
恥ずかし過ぎて徐々に声が小さくなる。
それでも2人しか居ない静かな部屋には、十分に聞こえただろう。
その証拠にエースの耳が、酔いとは違う理由で赤く色づく。
「......あー......まぁ、そりゃなる」
ガシガシと髪を乱暴に掻く。
「そっか...」
「急にどうしたんだよ。
抱かれてぇのか?」
直球な物言いに、無意識に肩が跳ねた。
「図星って顔だな」
ゲラゲラと笑う。
「なら、誘ってみろよ。
その気にさせろ」
「......頑張る」
「ほーぉ、ナニを頑張るって?」
「マ、マルコ!?」
居る筈がない人の声に、驚いた。
「エース、俺は熾天使に用があるからお前はもう寝ろよぃ」
熾天使...。
久しぶりにそう呼ばれた気がする。
「おう、分かった。
じゃーな、ナツキ!
また呑もうぜ」
「あ...うん」