第15章 釣りと魚と好き嫌い
「ん...」
マルコのことでモヤモヤ考えていたら、いつの間にか眠っていたらしい。
「おーい、ナツキー」
扉の外からエースの声がした。
「どうしたの?」
扉を開けると両手一杯に酒瓶を持ったエースが立っていた。
両手が塞がってたからノック出来なかったのか。
「一緒に呑もうぜ」
1人納得していると、エースに誘われた。
皆が呑むようなお酒はあんまり得意じゃないし...と少し悩む。
「ナツキが好きそうな甘い酒もあるぜ」
「呑む!」
エースは見ていないようで、実は良く見ている。
「何もないけど、入って?」
「おう」
酒瓶を机に置き、ベッドに寄りかかりながら床に腰を落ち着けた。
「ごめんね、ソファーとかなくて」
「んー?
別に俺は気にしねーぞ?
床に座んのも嫌いじゃねぇ。
それより呑もうぜ」
グラスに氷とお酒を注いでくれる。
氷の透明と、お酒の鮮やかな赤色が混ざり合う。
「乾杯!」
「乾杯」
グラスが高い音色を鳴らした。
グラスを傾ければカランと氷が溶ける音がする。
「美味しい...」
濃厚だけど、くどくなくて飲みやすい。
「そうなのか?1口くれよ」
「はい」
「ん、美味い」
「これなんてお酒?」
「さぁ...酒は全部サッチが選んでくれたから」
「そっか。
じゃあ明日サッチさんに聞こうかな」
「おう!」