第15章 釣りと魚と好き嫌い
「じゃあナツキ、こうするかよぃ。
俺が2つ食ってやる、その代わり1つは必ず食え」
「1個も...?」
「1つぐらい食ってやらねェと、作ってくれた奴に悪いだろ?
な?」
「...分かったわよ」
箸を手に取り、ピーマンの肉詰めの1番小さいものをつまんだ。
ゆっくりと口元に運び、小さくかじる。
口に広がる苦味に顔をしかめた。
「苦い...」
「ほら、口開けろよぃ」
「なんで...?」
「良いから。
そんで目も瞑れ」
食べたくなくてその言葉を無視していると顎を掴まれ、強制的に口を開かされた。
空いた瞬間に放り込まれるピーマン。
涙目になりながらも無言で咀嚼した。
「よく食えたな」
ポンポンと頭を撫でられる。
「別に...」
口に残る苦味をお水で流し込んだ。
残ったピーマンをたいらげていくマルコ。
「なんだよ、お前ら。
付き合ってんのかよ!」
どこからかヤジが飛んだ。
「船に女が居りゃ溜まんねーもんな」
「おい、バカやろッ。
すいません、マルコ隊長」
2人組で居たもう1人が謝った。
謝った人に見覚えがあった。
いつぞや、船で戦闘になった時に酔ってた人だ。
「お前だってヤりてーとか言ってたじゃねーかよ」
もう片方のスキンヘッドの人は相変わらず大きな声で話している。