第15章 釣りと魚と好き嫌い
遠くから漂う美味しそうな匂い。
賑やかな声。
「ん...」
空腹で目が覚めた。
「起きたか?」
「マルコ...?」
「あぁ。
皆飯食ってるから、ナツキも食堂に...」
不意にマルコの言葉が途切れた。
「どうしたの...?」
「いや、なんでもねェよぃ」
フィッと顔ごと視線を逸らした。
「変なの」
「良いから、服整えたら食堂行くよぃ」
「服...?あ......」
今日の服装はワンピースで、寝て起きたのもあり裾が大きくめくれていた。
「マルコでも気にするんだね」
「でもってなんだよぃ、でもって。
そりゃするだろ」
「どうして?」
「良いから行くよぃ」
気だるげに頭を掻いたマルコ。
「ふーん」
服を軽く整え、食堂に向かった。
食堂に近づくに連れて皆の声が大きく聞こえて来る。
「よ、マルコ遅かったな。
ナツキちゃんもほら座った座った」
サッチさんに促されるまま、2人で隣に座った。
「はいよ」
サッチさんが料理を並べてくれた。
「あ......」
「ん?どうした?ナツキ」
パンを頬張りながら尋ねる。
「な、なんでもない」
「そうか?」
今日のご飯。
パン、お肉入りのスープ、イカの刺身、ピーマンの肉詰め。
そう、ピーマン。
彼こそが私の天敵である。