第15章 釣りと魚と好き嫌い
膝裏に手を回され、身体を持ち上げられた。
落とされないようにマルコの首に手を回す。
「にしてもナツキが虫嫌いだったなんて知らなかったよぃ。
平気そうな顔してるのに」
と、笑う。
「嫌いなものは嫌いなの」
あの見た目が、動きが、音が、全て受け付けない。
「わあーってる。
それにガキらしくて良いこった」
「...マルコは嫌いなものとかないの?」
「俺か?
俺はそうだな...ナツキが俺の前から居なくなるのが嫌だよぃ」
「マルコ......」
赤く染まった顔を隠すように、胸板に顔を埋めた。
「ほら、着いたよぃ」
私の部屋の前で立ち止まった。
「マルコの部屋行きたい」
「今日は随分とワガママだねぃ」
「ダメ...?」
「俺にくらい甘えろ。
遠慮は
要らねぇよぃ」
そう言うマルコに心臓が大きく脈打った。
ベッドに寝かせられ、髪を梳かれれば心地良さにまた目が細くなる。
「今日はよく眠るな、おやすみ」
額に柔らかな温もりが触れ、すぐに離れていった。