第3章 安心
キッチンでサッチから水と、ツマミと酒を貰うと部屋へと戻る。
「水持って来たよぃ」
「ん、ありがとう…」
「酒とツマミも貰って来たけど、飲むか?」
「飲む…」
「分かったよぃ」
ノソノソと起き上がり、マルコの机の近くまで行くナツキ。
既にマルコに対する警戒心も薄れたようだ。
「お前、本当は人懐っこいだろ」
「んー、そう?」
「もう俺は警戒しなくて良いのかよぃ?」
「ん、大丈夫。
親父さんの家族に悪い人は居ない」
「そうかぃ。
なら良いけど、くれぐれも変なのには気をつけろぃ」
「??うん」
全然分かってなさそうだけど、まぁ良いか。
いざとなれば俺がなんとかするよぃ。
2人でお酒とツマミを食べながら、時間を過ごす。
ふと、ナツキの顔が陰った。
心配そうな顔を向け、言葉を紡ぐ。
「…私、暴走しちゃったけど、大丈夫…?」
「心配することはないよぃ。
誰も気にしちゃいねェし、何より弱い奴が悪い。
熾天使が気にすることないねぃ」
「ありがとう、マルコ」
「良いってことよぃ」
「それより、なんで私を連れて帰ったの?
それだけがずっと疑問なんだけど」
のして、帰ってしまっても良かっただろうに。
疑問をぶつけふと、マルコは少し気まずそうに頬を掻いた。
「あー……。
それはだねぃ……」
「うん?」
「…好きだったんだよぃ、お前のこと」
「え?でも私、会ったことないよね?」
「……手配書見て、惚れたんだぃ…」
「それって一目惚れ?」
「…あぁ…。
別に付き合いたいとか、そういうのじゃないから安心するよぃ。
ただ、気持ちを伝えたかっただけだ」
なんて、本当は嘘だけどねぃ。
本音を言えば、心を開かせて、その身体を好きに暴いて、俺のものにしたい。
でもそんな欲だけで動ける程俺も若くない。