第13章 能力
「なぁ、マルコ」
「なんだ?」
親父の部屋から出ると、エースが神妙な面持ちで口を開いた。
「ナツキは...本当に.....」
「.....俺が、あんな嘘つくとでも思ってんのかよぃ。
それとも、ナツキのあの傷を見てそう思ったのか?
まさか本当に転んで出来た傷だとでも?」
「ま、まさか!
ナツキがそんなドジする訳ねぇ!
なんで!
お前がついていながら!
ナツキがそんな目に遭わなきゃなんねぇんだ!
その時...何してたんだよ.....マルコ。
ナツキのそばに居てやらなかったのか.....?」
襟首を掴み、ガンと強く壁に俺の身体を押しつけた。
荒々しく怒りをぶつけたかと思えば、弱々しい声で尋ねる。
「悪い.....」
そんなエースに、謝ることしか出来なかった。
「おい、エースやめろ!
マルコを責めて何になる。
マルコだって悔いてるだろ。
落ち着けきなさいっての」
「これが落ち着ける訳ねぇだろ!サッチ!
てめぇナツキがあんな目に遭って平気なのか!?
なんでマルコもイゾウもサッチも!
平然としてられるんだよ!
おかしいだろ!?」
今度はサッチに掴みかかる。
「平気...?
ナツキちゃんを大切に思ってるのは何もエースだけじゃないんだぞ。
少しはマルコの気持ちも考えてやれ、バカ」
サッチがエースをたしなめる。