第13章 能力
「頭を冷やせ、エース。
それじゃあナツキちゃんを余計に傷つけるだけだぞ。
エース、お前がな」
「俺がナツキを...?」
「分かったなら、頭を冷やせ。
怒りは心の奥にしまっておきなさいよ」
「.....悪い、サッチ、マルコ」
エースが取り乱すのも無理はねぇよぃ。
なんで俺がこんなに落ち着いてられるのか、不思議で仕方ねぇ。
「サッチ、すまなかったな」
「気にすんなって」
サッチ達と別れ、自分の部屋に戻る。
「ナツキ」
「ん?
マルコ、どうしたの?」
「別に、どうもしねぇよぃ」
ナツキの手を引き寄せ、きつく抱きしめる。
「お前が...生きててくれて良かった」
「急にどうしたの?」
驚きながらも、髪を撫でるナツキ。
落ち着かせようとしてんのか?
「大丈夫よ、私はそう簡単には死なないから。
前にもそう言ったことあるでしょ?」
「...悪い、格好悪いところを見せたよぃ」
「格好悪くなんかないよ。
ありがとうね、心配してくれて」
そう笑うナツキは、やっぱり大人びて見えた。
一体誰に、どんな育て方をされたらこんな子に育つんだか。