第13章 能力
マルコは黙って聞いてくれている。
「そろそろ船へ着くよぃ」
風の抵抗力が半端ない。
それ程に速度を上げているのだろう。
高度をゆっくり落とし、甲板に降り立った。
「おっ、マルコ!ナツキ!」
「おかえり。
マルコ、ナツキちゃん」
エースやサッチさんを始め、皆が何かしらの声を掛けてくれる。
「あぁ。
変わりはねぇかよぃ?」
「ないよ。
お前が居なかっただけで、あちきらがやられるとでも思ったかい?」
「いや、そういう訳じゃねぇよぃ」
「ナツキ!
そのケガどうしたんだ!?」
両肩に手を置き、詰め寄るエース。
少しだけ、怖く思ってしまう。
こんなんじゃダメだ。
怖がってちゃ...。
「ちょっと転んだの。
体調は大丈夫よ」
「転んだ...?」
不振そうな目を向けられる。
「エース、あんまこいつを責めてやるな。
疲れてるんだ、休ませてやれよぃ」
ポン、とマルコの手が頭の上に乗る。
「あ、悪ぃ」
「ううん」
「ナツキ、お前は部屋に戻ってろよぃ」
「うん、分かった」
マルコに言われ、大人しくマルコの部屋に戻る。
「エース、サッチ、イゾウ」
「んぁ?」
「どうした?」
「どうしたんだい?」
「ちょっと話があるよぃ。
一緒に親父の部屋に来てくれるか?」