第13章 能力
「マルコ、ちょっと上着脱いで?」
「急にどうしたんだよぃ」
疑問を口にしながらも、服を脱いでくれる。
やっぱりまだ見慣れてなくて照れるけど、でもちゃんとマルコを見る。
「肩、治さないと。
思い切り噛んじゃったし...」
スー...と肩口を撫でる。
くっきりと歯形が残り、血が滲んでいる部分もある。
「ごめんなさい...」
「お前が謝ることじゃねぇ。
それより、ナツキは俺より自分を治せよぃ」
「え?あ、これ?」
自分の身体の状態を詳しく知ってる訳じゃないど、マルコが言うくらいだから痛々しいものなのだろう。
「...口端は切れて、腫れてて。
手脚の圧迫痕。
背中は畳と擦れて擦り傷。
探せばまだありそうだよぃ」
マルコの目が鋭くなる。
「あ、はは」
誤魔化そうと咄嗟に笑ったけど、なんとも渇いた声になってしまった。
これじゃあバレバレか。
「言えよぃ、ナツキ。
他にどんな傷がある?
どこが痛ぇ」
ギラリとマルコの目が怪しく光る。
「言うから、そんな顔しないで?」
今にも人を殺めてしまいそうな目つき。
その瞳には狂気の色がくっきりと映っている。
「...分かったよぃ」
マルコにはそんな顔して欲しくないし、させたくない。
「...お腹殴られたぐらい、だから」
大丈夫だよ、と笑う。
「それと中もだろ?」
「え?」
「掻き出す為とはいえ、指入れりゃ分かるよぃ。
中が1番傷ってる。
痛くねぇようにした筈でもあんだけ痛がればな」