第4章 初めての感情
すっかり夜も更けたころ、俺はタクシーに乗り家路についていた。
明日も朝早いのに…
そう思いながら、窓の外を眺めていた。
「あ、そこを右に曲がったところで停めてください。」
その通りに停車した運転手に料金を支払い、家へと歩いた。
もう夢芽ちゃんは寝てるだろうな。今日の夜ご飯は何食べたんだろう。
そんなことを考えるようになった自分自身に少し驚きながら、鍵を開けた。
「ただいまー、っと」
小声でそう言ったのに、リビングのほうから何やら話声がする。
なにかと思い扉を開けると、そこには電気もつけずに座りテレビの画面を見つめる夢芽ちゃんがいた。
「え?」
俺は驚いて、まず部屋の電気をつけた。
そこで彼女が泣いていることに気が付いた。
「え?ちょ、夢芽ちゃんっ?!どうしたの!」
そこで初めて俺の存在に気づいたのか、はっとした顔でこちらを向いた。
「ゆうき、さん…っ」