第4章 初めての感情
今日はお仕事で遅くなると言っていたから、夜までテレビを使い放題だ。
ゆうきさんのテレビは大きくて、そしてスピーカーもしっかりしたやつがついている。
前にそのスピーカーについて教えてもらったんだけど、難しくて忘れちゃったや。
「ここにいれて…っと。」
ディスクをセットして、再生する。
「うわぁ…!!」
そこからの30分間は、私を大きく変えるのに十分すぎる時間だった。
画面にうつる彼の瞳の綺麗さに、圧倒された。
瞬きをするのも忘れるほど、引き込まれた。
心拍数は上がり、額や手には汗がにじんでいた。
そして、涙も流れていた。
自分が涙を流していると気が付いたのは、少し経ってからだった。
こんなにもすごい世界を、私は知らないで生きていたのか。
たった30分の映像が私を新しい世界へいざなうとともに、新しい感情を呼び起こした。