• テキストサイズ

水と太陽と【梶裕貴】

第1章 プロローグ





お母さんから一人暮らしの話が出てから数日。


またダイニングテーブルで話し合いが持たれた。



「あのね、お母さんのお友達のところにお子さんがいるんだけど。そうねえ、夢芽とは少し離れてるから…お兄ちゃんってとこかしら。それで、そのお兄ちゃんが大学の近くで一人暮らししてて、もしよかったら夢芽ちゃんもそこに住んだら?ってお話くれたの。あ、ゆうきくんって言うんだけど。実は夢芽、何度か会ったことあるのよ?でも最後に夢芽と会ったのは幼稚園の頃かしら。…まあそれはいいわ。で、そこのお兄ちゃんなら安心できるなって思ったのよ。一緒に住んだら?どう?」




……いや、長い。長すぎる。


つまりお母さんの友達の子どもの家に住めと?

しかも幼稚園のときから会ったことない男の人のところで?


「はあ……」


「どう?家賃かからないし。お母さん、いいんじゃないかなって思うんだけど。」



まあでも、大学から近いならいいかな。



「うん、いいよ。そこにお世話になる。」


ほぼ会ったことないけど。
どんな家なのか知らないけど。



こうして私は住む家を決めた。


「不安しかない…」


部屋に戻るとき、ぼそりと呟いた。

/ 37ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp