第3章 4月
「俺の、仕事のことだけど。」
ぽつりと呟くと、顔を上げてちゃんとこっちを見てくれる夢芽ちゃん。
「あ、はい。話してくれるんですか?」
その声から一呼吸置き、
「俺、声優なんだ。」
と言うと、ぱっと顔を明るくさせた。
「やっぱり!」
あれ?知ってたのかな?
「たまたまあの部屋覗いちゃったんです。勝手にごめんなさい。そこで、すっごい字がたくさん書き込んである本みたいなやつを見て。
気になって調べてみたら、ゆうきさんの名前があるんですもん!びっくりしたなあ」
夢芽ちゃんはそう言い、ふふっと笑う。
「なんだ、だから急に仕事の話したんだ。」
「そうなんです!ほんとのほんとにゆうきさんなのかなって思って!
それで、調べてるうちに画像とかも出て来たんですけど、それを見て絶対ゆうきさんだ!って思ったんです!」
サラダを頬張りながら、ほら!とスマホの画面を見せてくれた。
そこには事務所の宣材写真の俺がうつっていた。
「は、恥ずかしいい…」
「そんなことないです!かっこいいですよっ」