第3章 4月
「お疲れ様でした。」
今日もラジオ収録を終え、帰路につく。
ついに夢芽ちゃんに、俺が声優であることがバレた。
…いや、別に隠していたわけではないが、なんとなく言えずにいた。
ふと気づくとひまわりの近くまで来ていた。
店内を覗くと、夢芽ちゃんが店頭から裏へと移動するのが見えた。
今日はこれでバイト終わりなのかな?
そう思った俺は店の前で少し待つことにした。
……しばらくして、声が聞こえた。
「あれっ?ゆうきさん?」
「あ、夢芽ちゃん。おつかれさま。」
「どうしてここに?」
首を傾げた夢芽ちゃんは、まさに頭の上にはてなマークが付いているようであった。
「さっき裏に行く夢芽ちゃんが見えたから、もう終わりなのかなーって思って待ってたの。」
おつかれさま、と、ぽんっと頭に手を乗せる。
「わざわざありがとうございますっ!」
えへへ、と笑う彼女は俺の疲れを優しく癒してくれる。
そして2人して帰路についた。