第2章 お邪魔します
少しおしゃれをして、約束の11時に間に合うよう家を出る。
「最寄り駅についたら、お母さんのお友達と落ち合う予定だから。一緒に行きましょうね。」
「う、うん」
…なんだか緊張する。
「なに、緊張してるの?」
お母さんが笑いながら言った。
「するよぉ」
ふふっと笑うと、
「そりゃそうよねぇ。でも、すごくいいお兄ちゃんだから大丈夫よ。」
安心できるよう声をかけてくれるが、あまり気が休まらない。
ばしっ
「な、なにっ?!」
いきなり背中を叩かれ驚いて顔を上げる。
「そんな怖い顔してたら、こんな子家に置きたくない!って追い出されちゃうわよ?」
笑顔でそういう母の顔は、全てを包み込んでくれるようだった。
「もう、やめてよ」
自然と顔もほころび、気持ちも軽くなった。