第1章 真逆〈O×S〉
~S.
大野さんが診察室から出ていった後、俺も
これ以降用はなかったので、診察室を後にする
廊下にでて、吹き抜けになっている所から下を
見れば、大野さんが出口に向かい歩いてるのが
見えた。
「……、?」
少し、違和感を覚えた。院内には似つかわしくない
黒いスーツを着た人たちが歩いていった大野さん
を気にするように同じく出ていった
「…知り合いかな、?」
なんて呑気な事を考えながら再び歩き出した
「翔さん、最近上の空な事多いね?」
休憩の時に、潤に言われた一言
「そう、?そんな事、ないと思うんだけどなぁ」
淹れたてのコーヒーを飲みながら答える
「自覚なし、?さすが翔さん」
タブレットを器用に片手で操作しながら言う
「何それ、褒めてんの、?」
「原因は、そうだな…大野さん?」
「んぐっ!?…っ、げほっ、げほ!」
図星をつかれ、思わず咽る
「あら当たり?…翔さんわかりやす、」
ケラケラ笑いながら俺にティッシュを渡す潤
笑われた事より、疑問に思った事が、
「何で潤が、大野さん知ってるの?」
「もう一個の仕事でよく会うからね、」
最も相手は興味なさげだけど。と笑ったまま言う
「もう一個…、あぁ…、なる、ほど」
潤のもう一つの職に納得し、頷く
「翔さん気をつけな、?」
「なにを?気をつけるの、」
聞き返せば、声を潜める潤
「言ったでしょ、俺の担当は裏稼業だって、
大野さんも少なからずその一人だ、翔さんが彼と
接触すれば、翔さんにも危険が及ぶかも何だよ」
「っ…、マジで、」
潤の言ってる事には道理が通る。最初に出会った時
からそれは痛い程身にしみている、
このまま大野さんに会い続ければ俺にだって被害が
及ぶかもしれない。
「でも、気をつけるったて、何を、」
「夜道は一人で歩いちゃだめ、攫われるかも」
「えぇ…、女子じゃないんだし、」
そう言うと、潤は俺を上から下まで見たあと
俺の顔をみてため息をついた
「ほんと、無自覚…」
潤が呟いた事の意味がわからず首を傾げた
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