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COLORS【気象系BL】

第1章 真逆〈O×S〉


~S.





昔、言われた事がある。
この世界には命を救う側と奪う側の人達が居る
決してお前は闇に染まるなよ。
そう、刺すような目で釘をさされた。
遠くに月がぼんやり見える夜、いつも通り
家へ帰る道を通っていたら、少し奥まった路地
から、人の声がした
その声は、引き込まれる様な、透き通る声だった
普段は入らない路地に入れば、室外機に凭れ
かかる人がいた

本当は、急患で病院に運んでもいいんだけど、
容姿、傷の状態から、多分駄目だと思って
申し訳ないがその場で手当した
「しばらく安静にしてたら、すぐ治りますよ」
「え〜、まじか…、」
「激しい動きしたりしたら傷開きますからね?」
「んぇ〜、また怒られるわ〜、」
「…また?以前も、怪我したんですか?」
「おっと、そこは企業秘密ぅ」
そう言ってその人は、俺の口に人差し指をおいた
「ま、運良く今回は手当して貰ったからね、
そこはお礼を言うよ」
そう言って笑い、立ち上がった

「もうすぐさ、オレのお守がくるから、お家帰んな?」
「見つかったら、まずい系ですか、」
恐る恐る聞けば
「そぉだねぇ、明日の朝はこないかなぁ」
何てにこにことわらった
「…、それは、笑い事じゃないですね、」
出していた包帯を素早くしまい、帰ろうとすると
いきなりぐいと手首を引っ張られバランスを
崩せば、怪しく笑う彼の手の中に収まっていた
「ちょ、ッ…な、何?」
押し返そうとしても、びくともしない、
「名前、聞いていい?てか名刺ある?」
耳元でそう囁かれ、思わず体がびくりとする
「ッ、名刺ありますよ…、」
「そう、頂戴?」

この人は何なんだろう、帰れとか、名前教えろとか
全然何考えているかわからない、
未だ抱きしめられている形のまま、自分の
名刺を渡せば、
「イイとこのお医者さんなんだねぇ」
と呟き、掴んでいた手首を離してくれた
「か、帰っても…、?」
「ん、いいよぉ、じゃあねぇ…しょーくん」
その人は、暗闇に溶けていった




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