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COLORS【気象系BL】

第2章 八百万の神〈O×N〉


~O.




「智さんってさ、暇なの?」
本堂の前の石に座る和が言う。
「何で、?暇じゃねぇよ、オレだって」
「だっていつもここに居るじゃん」
「それは何も言えねぇ」
そう、和に笑った時、入り口の鳥居の方で風が吹いた
枯れ葉がカサカサと音をたて、踊る様に舞い上がる
「智さ、あれ…、人?」
和が声を発したと同時に、見覚えのある小さなナイフ
が数本、オレの後ろの本堂の壁に刺さった
「和っ!こっちこい、!」
「わっ、!?ちょ、智さん、!」
「いいか、オレがいいって言うまでこの扉開くなよ」
「智さん、!ま、っ!」

「くそ…、まじか」
姿は翔くんそのもの。だがしかし、目の色が違う
真紅の瞳の色が、山吹色に光っている
手首の楔がじわじわと光を放っている
「智さ、あの人は、?」
「オレのお世話係、だが今は操られてる、!」
ゆらりと、翔くんが近づいてくる
「クソ親父が、自分の息子使うのかよッッ!」
「智さん、!大丈夫なの?」
「オレじゃない……」
「……………、え?」
「狙ってるのはオレじゃない、お前だ和!」
『その通りだ叡智の狐。わかってるじゃないか』
「……渡さねぇよ、こいつは」

『裏切る気かこの狐の分際で!!!』
ぶわりと、オレの周りに風が渦巻く
「翔くんの顔で、んな事言うなよ」
投げられたナイフが全て弾かれ、風は翔くんを巻き込んで
その身を地面に叩きつける
「ちょ、!お世話係の人大丈夫、?」
扉の中で、和が遠慮ぎみに聞いてくる
「多分平気……、」
落ちたナイフを一つ拾い上げ、翔くんに近付く
「翔くん…翔くん、」

薄ら目を開けた翔くん
「…、智く、…おれ、」
「あぁ良かった、戻った、和…もういいよ、出ておいで」
「ん、で…その人、大丈夫?」
「ごめん!和也くん、でいい?本当、ごめん!」
和の前に立ち、ごめんと繰り返す翔くん
その目には涙が浮かんでいた





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