第1章 真逆〈O×S〉
~O.
目の前にそびえる一つのビル。
「はぁ〜、正面突破は苦手なんだよな…」
そう言いながら、ガラス張りの自動ドアを潜る。
「んは、誰もいねぇ」
ぐるりと見渡しても、人の気配がない。
携帯を開き、送られたメールを確認する。
それはニノからで、どうやらGPSを詳しく調べた
結果らしい。
「ふーん、5階ねぇ、」
添付された居場所の地図を見ながら、エレベーター
に乗り、目的の5階まで上がる。
5階に到着し、ドアが開くがしばらく降りないで
様子をみたけど、誰かがくる気配がないので
エレベーターから降りる。
足音がならない様に歩きながら、ある部屋ある部屋
中の音を確かめていくと、一つ人の声が聞こえる
部屋を見つけた。
耳を当て聞くと、
「…これで、ほんとに来るんですか?」
「…奴ならくるさ、必ずな」
何て、会話が聞こえる。
どうやらオレが来たのは気づいてないらしい。
いや、セキュリティ的にどうなの、ここのビル…
無法地帯じゃん、
「もしも〜し、奴ってのはオレかな〜」
普通にドアを開け中に入れば、中には数人の男
と、縛られたしょーくんが居た。
自分の顔が強張るのがわかった。
「お宅らさ、オレのしょーくんに何してんの」
相手が銃を構える音がした。
「お前の組をなくすんだよ」
「はぁ〜、上の代が争ったから?オレに関係なくね」
「っ、んー…!」
涙目で縛られているのを取ろうとするしょーくんに
近づき、
「ごめんなぁ、オレのせいで、」
と、言いながら縛られていた口の布をとる。
「勝手に動くな!!」
「おおのさっ、逃げ…っ!?」
オレに突きつけられている銃をみて泣きそうな
しょーくんを抱きしめ、視界を塞ぎ
「オレなぁ、怒ってんの…」
そう言って、持ってた銃の引き金を引いた。
それを引き金に部屋にいた数人が向かってくるが
しょーくんを抱きとめたまま、構わず自分の銃
の引き金を引いていく。
「ごめんしょーくん、怖い思いさせて、」
「大野さん、っ…!」
とうとう涙を流したしょーくん
巻き込んでしまった罪悪感が、ぐるぐると心の中
に巡っていた。
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