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COLORS【気象系BL】

第1章 真逆〈O×S〉


~S.




「翔さん、悩みでもあるの?」
そう薬品の匂いが漂う部屋で、潤が口を開く。
丁寧に巻かれる足の包帯を見ながら、首を横に振る
「べつに…、何も…」
「普段階段から落ちない翔さんが、階段から
落ちたって聞いたら、普通心配するでしょ」
見抜く様な潤の目が、俺を見る
「っ…、ごめん、」
「まぁ…、大野さんかな、?」
そう聞く潤に、力なく頷くと、
「やっぱり、大野さんも元気なかったから、」
名前を聞いただけで、涙が溢れた。

俺が攫われて、大野さんに助けられた後、
俺を家にまで送ってくれた大野さんは、
玄関前で一言、俺の目を見て言った。
「ごめん。巻き込んで、もうしょーくんに会いに
行かないから、ごめん」
そう言って、振り返らず歩き出した大野さんの背
を呆然と俺はただ、見つめていた。
何の涙かわからない涙が頬を伝うのがわかった。
ここ何週間か会ってただけなのに、
俺の中では大切な存在になっていた。
「ぉ、のさ、っ、…!」
リビングまで続く廊下に、俺の嗚咽が響いた。
皮肉にも、俺は大野さんが好きだと気づいた。
何で、今。もっと早く気づけばよかった。

「なる…ほど、ね」
止めどなく流れる涙を拭くことなく話す俺に
潤は優しく、相槌を打って聞いてくれた。
「俺…、っ…もう、わかんない、」
「翔さん、会いにいく?…大野さんに」
「…、へ?」
潤が放った言葉に反射で顔を上げれば、
「好きなんでしょ?」
なら伝えなきゃ。そう笑う潤。
「まっ…、てよ、ダメに決まって、!」
「責任は俺がとるから。このままじゃ後悔するよ」
俺の言葉にかぶせ気味に言う潤の気迫に気圧され
涙が引っ込んだと同時に頷いてしまった。

「あーぁ、大野さんが羨ましいわぁ〜」
何て笑う潤。
「…なんで、?」
「まぁいいから、会いに行く前に足治そうね」
「ぁ…、そうだ捻挫」
俺の心境は、とても複雑なものがぐるぐると
していた。






To be Continued.
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