第1章 抑えた声
「っはあ……はぁ…」
少しのあいだ余韻に浸るように大の字になっていたが、すぐにムクリと起き上がった。
洗面所でローターを手早く洗い、そのまま浴室でシャワーを浴びる。
風呂からあがると、すぐに化粧水、オイル、クリーム。
入念にボディケアをしていると、スマホに新規メッセージの通知が来た。サッとスマホを取って内容を確認する。
『明日会う予定だった友達が風邪引いて、キャンセルになった。暇だから一緒にどこか行かないか?』
メッセージを読んだ有は、ハアとため息をついた。
「急に言われても困るんだけどなあ。秋也くんて、いつも思いつきで行動するよね」
秋也は有の恋人だった。付き合いはじめて、もう1年近くになるだろうか。
彼女は恋人の急な行動に呆れながらも、
『もちろんいいよ、秋也くんに会えて嬉しいな。ちょっと買いたいものがあるから、モール行かない?』
と返信をした。
もちろん、語尾にハートマークをつけることを忘れないで。