第1章 抑えた声
「んっ…」
深夜23時。暗い部屋の中で、ヴーンという機械音と、小さく抑えた喘ぎ声だけが響いていた。
「っふう…んん…」
こぢんまりしてはいるが、鉄筋づくりのしっかりとしたマンションの一室。間取りは1LDK、一人暮らし用の建物だ。部屋の壁は白くて、フローリングはピカピカしている。建てられてまだそれほど年数が経っていないのだろう。清潔さのただよう部屋だった。
部屋の主の名は、有。親元を離れて大学に通うようになってから、2年が過ぎていた。
「っ…う…」
有は秘部に当てているローターの角度を変えた。
自分の感じやすいところは熟知している。
「んっ…」
快感に膨らんだクリトリスは、とても敏感だ。
痛いくらいの刺激が脳を痺れさせる。
けれどそれがとても気もちいい。
「っふぅ…う…ん」
甘い快楽に耐えるように、口をぎゅっと結ぶ。
「んっ、ん…う」
わきあがる熱に突き動かされて、左手を自分の胸へとやる。ふくらみを柔らかく揉みしだく。
気持ちよさの波がざわざわと押し寄せる。
もっと、もっと、と身体が叫ぶ。
胸の突起をつまみ、親指と人差し指ですりすりと撫でる。
「ふぅ、ん、んん…!」
全身が震える。あまりの気持ちよさに身体をくねらせた。上と下からビリビリとした刺激に責められる。
もう限界が近い。ローターを持つ右手に、いっそう力を込めた。
「うっ……んん…!ん、う……っ!!」
快感の波が、頭の先まで押し寄せた。
目の前が真っ白になる。
腰をビクビクと震わせると、痙攣した脚が空をさまよった。