• テキストサイズ

ダーリン私に触れないで

第5章 つらくて、よかった



「有?」
 黙ったままの有に、秋也が声をかける。有もハッと我に返った。
「ん…そこ、座って」
 電気ケトルでお湯を沸かし、お茶を出す。


「有、昨日は、すまなかった…!」
 秋也はテーブルに頭をつけんばかりの勢いで謝罪した。

「有を傷つけるつもりはなかった、バカにしたい訳じゃなかった」
 必死で頭を下げ続ける。

「でも、笑われて…。私、傷ついたよ」
 有はなるべく冷静さを保とうとした。
 今でも腹は立っているし、さっさと別れて忘れてしまいたい。けれど別れた後で、秋也が自分に対して悪い噂を流したりしたら困る。なるべくおだやかに、前から関係に不安があったことを伝え、納得の上で別れることができればベストだ。
 そう思った。

「秋也くん…気づいてないかもしれないけど、私、秋也くんとつき合っててつらい気持ちになったの、これが初めてじゃないよ。我慢してたこと、色々あるの」
「えっ…」
 秋也は顔を上げて有を見つめる。

「だから、私」
「そうなのか…!よかった…!」
「はっ?」

 有は目を見開いた。よかったとは何事か。
 秋也も少し、しまった、という顔をした。

/ 66ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp