第16章 氷の恐怖
ホタルはそこで漸くちらりとマナを見た。
嫌だったらいい、と言いつつもその表情には教えてほしい、という思いがありありと伝わってくる。
暫くホタルはその目を見つめた後、また目を逸らした。
重々しい空気がしばらく続いた後、ホタルは言った。
ホタル「…来たようですよ」
ガチャッ
マコ「あ、ヨルじゃん。って、どうしたの!?その荷物!!」
ヨル「あ、あはは…姉上、持ってきました……よっ!」
ヨルはなんと自分の背丈以上に積まれたコートを、その細い体で持ってきたのである。
ヨロヨロとドアの近くにある机に荷物を置くと、ヨルは倒れてしまった。
アイ「大丈夫ぅ?」
ヨル「だ…大丈夫、です……」
ヨルは弱々しく笑った。
ヨル「良かった……姉上の為に、でき…た……」
オレオ「あ、気絶したぞコイツ」
ツンツンとヨルの頬をつついてオレオが言う。
そこへ、本日何度目かのドアが開く音がした。