第16章 氷の恐怖
ホタル「主、例のモノをクソが持ってくる。他の者にも言ってくださらないか?」
マナ「へ?あ…う、うん。分かった~」
それだけ聞くと、ホタルは漆黒のマントを翻して行ってしまった。
マコ「…ねえ、ホタルってさ」
暫しの沈黙の後、マコがマナに話し掛けた。
マコ「ちょっと怖いところもあるけど、綺麗だよね。服のセンスもバッチリだし」
確かにそうだ、と言うようにマナは頷く。
ホタルの衣装は、黒を基調とした、という点では同じだが、毎日変わる。
ちなみに今日は、黒マントに動きやすいようにかヒールの無いブーツ、マントの中はダブルボタンが5つついたコートを着ている。
ズボンは短くかなりセクシーだ。
ホタルは壁に寄り掛かるようにして、騒ぐ連中を眺めていた。
その黄色い目は、確かに何か訳ありっぽい感じがする。
引き留めるマコを振り切って、マナはホタルに歩み寄った。
マナ「ホタル、どうしたの~?」
ホタル「……………」
ホタルはマナの方を見向きもせず、ただ黙っているだけだ。