第16章 氷の恐怖
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廊下を歩くアヤカ達。
厚く敷き詰められた絨毯のせいか、足音はなく静かだ。
全員ずっと黙っている。
アヤカは、じっと前を歩くメイドを見ていた。
彼女はロシアンブルーだった。
窓ガラスから漏れる光に当たると、銀色に光るビロードのような毛が、そのことを確信させている。
しかも、髪の毛がある。
(※普通、猫に髪の毛はありませんが、ラーシェノーザの猫には、たまにあります)
髪の色は毛の色よりも薄めで、肩くらいの長さだ。
何度か角を曲がって行き着いた、木製の高級感溢れるドアを開けると、三人は歓声を上げた。
シャンデリアのオレンジ色の光に満たされた、広い部屋。
部屋の真ん中には長テーブルがあり、白が映えるテーブルクロスがかかっている。
そのテーブルの上には、美味しそうな食事が並んでいた。