第16章 氷の恐怖
次に現れた映像は、そこが何処だか分からなかった。
ただ、血の臭いと、何かが腐ったような臭いがするだけだった。
先生はあたしを抱き締め、こう言った。
『良いですか、アヤカ。私のことは忘れなさい。ですが、自分を信じる、ということは、決して忘れてはなりませんよ』
そう言って先生は、深い青色のマントを翻して、走り去ってしまった。
先生えぇぇぇぇ───
涙が止まらなかった。
今すぐにでも、昔の自分に戻って先生を追いかけたかった。
だけど、あの時、あたしはあまりの事に、泣いてるだけで、追いかけることができなかった。