第4章 和平交渉
いきなりだが時は遡る。砂粒の電話を終え私はとある人物に端末からコンタクトを取っていた。相手の名は怒突、毒殺師だ。彼との馴れ初めは、今はいいだろう。何故彼とコンタクトを取ろうとしたか言うと彼が毒殺師であるからである。前もって訂正するが決して私は憂城を毒殺したい訳ではない。彼は毒は毒でも死なない、それ所かコンディションを整える毒を扱えるそうではないか。着眼点はそこにある。
料理とは何か。口から取り込み自身の体の一部とする。細胞、肉、骨、内蔵の構築に関わるのだ。出来るなら健康になる料理を作りたいと初心者ながら結論を出したのたっだ。
『はい、お電話変わりました。津久井です。どのようなご用件でしょうか?』
「怒突か。いきなりですまんが君の力を借りたい」
『…テメェ!表の職場に電話する奴があるか!』
「裏の方では繋がらなかったのでな」
『だからってなぁっ!…はぁ、それで用件は?』
「ああ、実は…」
聞き出したのは漢方薬の作り方だっだ。
しかし、その漢方薬の素材は特殊なものが多く。この町に訪れた理由にもなる。ただ住みやすいからここを選んだのではない。ここは法外な物が頻繁に出回っている町なのだ。裏の社会の交易が盛んな町。その気になれば軽く戦争できるほどの武器まで揃うらしい。その辺は興味は無いが特殊な素材なども流されている。毒殺師が提示した素材を手にするため私はこの町に足を踏み入れたのだった。
そして、私は素材を無事に手に入れ調合しシチューに混入した。断罪弟が卒倒した理由は怒突から聞き出した漢方薬が原因なのであろう。シチュー自体はレシピ通りで何の手心も加えていないのだから。
「まさか、ああなるとは」
流石、毒殺師。無味無臭に加えこの即効性。恐れ入る。
「お前がシチュー作るのに妙に時間かけてたのは漢方薬作ってたからかよ」
「そうなる。漢方薬を調合するのも始めてなんだ」
断罪弟はソファーの上で横になっていた。血色は戻り、泡を吹いて倒れていたのが嘘のように気分良さげに眠っている。
「でその漢方薬の効果は?」
「たしか疲労回復、不眠解消、コレステロールと糖質の過剰な吸収を抑える上にデトックス効果で美肌、更には髪の質も向上し体の中から綺麗!そしてその他諸々だ」
効果に間違いがないのだろう眠っている断罪弟の肌は艶やいているように見える。いい仕事をする。
