第14章 黒の軍と赤の軍
有栖と共に立ち上がり、そう言ったのはこの国の書記官を務めるブランであった。
両軍の幹部からの視線を受けながら、彼は隣に立つ有栖と目を合わせ、彼女が頷いたのを確認して、丁寧に言葉を紡いでいく。
「実は彼女は、科学の国の人間でありながら、魔法を弾く力を持っていない。
これが意味することを分かる人はいるかな?」
「能力持ちだから使えねーってことじゃねえのか?」
遠くの席に座るフェンリルがよく通る声ですぐさま応答した。
その声の後、穏やか声の持ち主がゆっくりと手を上げ、発言する。
「"科学の国の人間が魔法の国に来た場合、例え魔力持ちであっても魔法を弾く力を持つ。"学生の頃に読んだ書物にそのような記述があったと記憶しています」
「さすがだね、赤のジャック。その通りだよ。
では、その続きも覚えているのではないかな」
「…"但し、その人間に魔法の国の人間の血が半分以上 流れている場合を除く"」
「…!!!!」
エドガーの言葉に、その場にいた誰もが驚きを隠せないようだった。
「…じゃあ、有栖は…」
「純粋な魔法の国の人間、若しくは魔法の国と科学の国のハーフ、ということになるね」