第14章 黒の軍と赤の軍
「まあ…相手にバレている場合、確かに、事情を知っていて守れる人は多い方が良いよなあ」
フェンリルが首を縦に振りながらそう言った。
「…というか、あいつらはもう魔法学者じゃなくて、今は亡きアモンの意思を継ぐ下僕共、だな
魔法の塔は追い出されているはずだから」
「そうなんだ…」
シリウスの言葉に有栖が相槌を打った時、ところで、と言ってフェンリルが彼女に問いを投げかけた。
「ところで、魔法の塔のこととか奴らと何があったかもシリウスに聞いてたのか?」
「えっ…あー………そのことなんだけど、実は僕、シリウスさんからは何も聞いてないんだ」
「え…どういうこと…?」
すかさず疑問を口にしたルカを見て、有栖はゆっくり口を開いた。
「……信じてもらえるかは分からないけど、能力持ちとして魔力を持っているからなのか、夢をよく見る上に、その内容をとてもよく覚えているんだ。
その中には予知夢も多くあってね、もしかしたらこの人達にも会うことになるかもしれないと思って、みんなの名前とか顔とか、出来事をメモしておいたんだよ
…実際にこんな世界に来ることになるなんて、思わなかったけど
…で、エルさんがこのクレイドルに来てからの出来事も、空からかな?見えたんだ
当時は何のことかさっぱり分からなかったけど、ここに来ていろいろと繋がったよ」
有栖はこの嘘を突き通すことにし、説明をした。
幸運にもレイ達は信じたようで、なるほど、というように首を振っていた。
「お前も大変な思いしてきたんだな」
「うん…まあね。でももう慣れたよ」
「……」
そんなレイと有栖の言葉に、少しだけ彼女の事情を知るフェンリルが気まずそうな顔をする。
そんな相棒の表情を一瞥した後、キングが重々しく口を開いた。
「明日、赤の軍の幹部をガーデンに呼んで緊急会議を執り行う。
有栖の言うことは最もだ。
んで、両軍で協力して対策を考えることにしよう。
捕らえて牢に入れたあいつらの他にもまだ下僕共がいると考えた方が良さそうだしな」