第12章 麻里と有栖
----------------------------------------------
ただ、空に浮かぶ月を眺めていた。
麻里の顔が浮かんで、迷惑や心配をかけていることへの申し訳なさが僕の心を暗くさせていた。
それと同時に、彼女の笑顔と励ます声が頭の中でフラッシュバックする。
とても優しくて、強い人。
彼女は僕にとって、血の繋がりよりも信頼できるただ一人の存在だ。
血の繋がり、それは彼らのことを指すのだが、僕は彼らのことを親戚だと、ましてや家族だなどと思ったことは一度もない。
_______________---------
"『やだ!離して!!やめてよ!!……っ!!!』"
"『父さん…?母さん…?……嘘でしょ?ねえ?返事してよ』"
"『………もう、こんなの見たくない。僕は……物じゃない』"
_______________---------
ぎゅっと目を瞑ってめくりかけたアルバムを閉じる。
自分の能力を知っても笑顔を向けてくれ、その上、好意的な態度を変えなかったのは、死んだ両親と麻里以外には誰もいなかった。
この能力を知った人の大半は気持ち悪いと言って僕の元を去っていく。
興味を持った人は何かに利用しようと、背筋がゾッとするような気持ち悪い笑みを浮かべて僕に近付く。
そんなのは、もううんざりだった。
だから僕は自分をしまい込んで、自分を変えた。