第11章 有栖と黒の軍②
その声に空気がピリッとしたのが分かる。
普段のシリウスさんはとても優しいが、花壇を荒らされて怒る様子を僕は画面越しに見ていた。この質問をすることは聞いていなかったが、チャツネではないとしたら、これを聞かなくても犯人は大体絞られるんじゃないか、と思いつつ、レイと握手を交わす。
「いいえ。
……よろしくな、有栖。」
『よろしく、レイ』
レイはきっと僕の魔力には気付いている。ゲームでレイが魔法を使えることは知っていたこともあり、握手をしながら少し目を合わせた時に、そう確信したのだ。
その後、ルカ、セスさん…と階級順に短い言葉を交わしながら握手をした。
最後の挨拶が終わり、フェンリルが席についたのを確認して、僕はシリウスさんに耳打ちをする。
彼はその言葉を聞いて満足気に微笑み、告げた。
「…フェンリル、後で俺の部屋に来い」
目を見開いた"犯人"は、勢い良く立ち上がる。
「なんでっ…!?ってか、あれはっ…しょうがなかったんだよ…っ…!」
「……犯人が分かったところで、ここからが本題だ。
有栖、話せるか」
フェンリルの言葉に応えることはせず、シリウスさんは僕に話をするように促した。
『…はい。大丈夫です』
微かに震える手を握りしめ、静かに息を吐いてから僕は慎重に言葉を紡ぐ。
『僕は、能力持ちの人間です。
この…この手の平で相手の素肌を触るか、目を3秒以上合わせるとその相手の心を読むことができます。…そして、その両方をすると、僕の心の声を相手に聞かせることができるんです。』
言い終えると、今日1日で既に何度か経験した固い空気を感じ、僕は熱くなりかけたものを抑えるように下を向いた。