第11章 有栖と黒の軍②
『それじゃあ、部屋に行きますね』
背中を向けて歩き出した僕の腕がぐっと引かれる。
「何も無いとは限らないから、部屋まで送って行く。どうも、あんたを見てると心配したくなるんでな」
『…っ、…ありがとうございます』
断ろうとも思ったが、シリウスさんの親切心を無下にもできないし、シリウスさんの言葉にドキドキさせられたしで、僕はその言葉に甘えることにした。
(なんでこう…ドキドキさせるのが上手いのだろうか…、わざとなのだろうか…?大人だから、だけではない気がするんだが…。)
そんなことを思いながら、何の問題もなくエルの部屋に着き、シリウスさんにお礼を言ってそのまま別れる。
あの時、何故見つけられなかったのか不思議に思う程、目当ての扉は、あっさりと見つかった。
その奥には予想以上に綺麗なバスルームがあった。
簡易的なシャワールームなんかじゃない。ちゃんとしたユニットバスだ。確かに広くはないが、浴槽があるのとないのとじゃ大違いだ。
洗面台の棚には、女の子らしい 可愛らしいデザインの洗面道具や雑貨がセンス良く並べてあり、こんなところまでエルは可愛らしいのかと感嘆の息を漏らしてしまった。
ボロボロのドロドロになってしまった服を脱ぎ、シャワーを浴びる。
実は昨日、気を利かせたロキが魔法石を使って大まかな汚れを取ってくれたのだが、やはり、ゆっくりお風呂に浸かるだけでふっと疲れが抜ける感じがする。シャワーを浴びた後、浴槽を洗ってからお湯を溜め、そこにちゃぷんと身体を沈めた。
お風呂から上がり、バスローブに着替えてから部屋のクローゼットを開く。
遂にこの時が来てしまった。
『スカートなんて、履くのは何年振りだろうか…。』