第11章 有栖と黒の軍②
「…部屋の場所は分かるか?」
『はい。分かります
昨日、隠し部屋があるとか何とかって言って見せていただいたので…』
そう言うと、シリウスさんはふっと笑った。
「そういや、そうだったな
…あれはやっぱり嘘だったか」
目を合わせ続けないように少し俯きながら、シリウスさんの綺麗に弧を描いた口元を見て話す。
『…すみません…』
「なに、謝ることない
ただ、次 何かあったら、すぐに俺に連絡すること。いいな?」
『…はい、』
「ん、いい子だ」
そう言って笑い、僕の…エルの髪を撫でたシリウスさんの顔を見ると、アメジストの瞳と視線が重なった。目を逸らさないといけないのに、何故か動けなくて、だめだ、そう思った瞬間。
『…わ…っ?』
目の前がいきなり暗くなって、ビクッとすると、
「これ以上目を合わせちゃいけないんだったな、」
自分の目を覆う物がシリウスさんの大きな手だと分かったのはそのすぐ後だった。
覆っていたものが外れた時、目を逸らしたシリウスさんの頬が夕陽に照らされて赤く染まっていた。